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研究紀要

研究紀要:第41号(2026年)

執筆者 論題 要旨
川野 憲一 青蓮院蔵不動明王二童子画像の制作者について 本稿は、不動明王画像の最高傑作として知られる京都・青蓮院蔵不動明王二童子画像(国宝)を描いた絵師について、表現技法や作品固有のモチーフの分析により、平安時代、十世紀後半から十一世紀前半に南都で活躍した絵仏師・玄朝である可能性が高いことを明らかにした論考である。
石沢 俊 【研究ノート】神戸市指定有形文化財 絹本著色仏涅槃図(念仏寺蔵)について 令和六年度、新たに神戸市指定文化財となった絹本著色仏涅槃図(北区・念佛寺蔵)は鎌倉時代末期~南北朝時代(十四世紀前半)に南都系絵仏師、とりわけ命尊系の絵仏師によって制作された優品でありながら、今までほとんどその存在は知られてこなかった。本稿では、命尊系涅槃図における図様の比較・検討を試み、命尊筆「仏涅槃図」(重要文化財、九州国立博物館蔵)などと同じく、律宗文化のなかで念佛寺本が制作された可能性を提示する。あわせて、知恩院史料や近世地誌類における念佛寺の記述をもとに、念佛寺本が有馬の大火後の復興において施入された可能性を提示する。
高橋 佳苗 【研究ノート】小磯良平作「池長美術館長像」をめぐって 本稿では、洋画家・小磯良平作《池長美術館長像》を取り上げる。池長孟の教職退官記念の肖像画として制作された本作では、モデルのポーズやモチーフの配置を工夫することで、肖像画としては珍しい構図を採用しており、教育者としての池長よりも、南蛮美術の蒐集家としての姿を強調して描いている。本作の制作経緯や画家とモデルの関係性について明らかにし、本作における小磯が描いた肖像画としての新たな位置づけを行う。