Language | 文字サイズ  S M L

研究紀要

研究紀要:第7号(1990年)

執 筆 者 論題 要旨
宮本郁雄 播磨の古瓦 -赤松啓介氏採集品より 赤松啓介氏による永年にわたる精力的な踏査により採集され、神戸市立博物館に寄贈された播磨古代寺院跡等から出土した数多くの古瓦は、農業基盤整備事業などの開発により発掘調査が十分に実施されないまま、その立地や規模についても定かでない古代寺院に関わるであろうと推定されるものを多く含み、播磨地域における古代史を考える上で非常に重要な資料である。それら寺院、あるいは街道沿いから採集された瓦を紹介するとともに、それぞれの出土地ごとに分類を行い、同笵関係や瓦の特徴から時期など、遺跡の性格や存続時期などを検討したものである。
成澤勝嗣 渡辺鶴洲研究資料補遺 ―『歴代画家提要』を中心に- 江戸時代の長崎にあって、唐絵目利-輸入される中国画の鑑定や評価を職務とする地役人-をつとめた画人・渡辺鶴洲(一七七八-一八三〇)については、かつて本紀要の第五号において、紹介を試みたことがある。今回はそれに引き続き、前稿ではほんの一部分を引用したのみで、全容の検討は積み残しになっていた鶴洲の未紹介の著作『歴代画家提要』(東京都立中央図書館蔵・写本)を活字化することを第一の目的とし、加えて、その後に見出すことのできた若干の鶴洲関係資料を紹介している。中でも石崎融思とともに筆をとった「楚州禅師送別書画帖」(大雄寺蔵)は、鶴洲の詩・書・画をあわせて見ることができる資料として貴重である。