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研究紀要

研究紀要:第1号(1984年)

執筆者 論題 要旨
三好唯義 ポルトガル地図学史上における日本地図の変遷 本稿は、16世紀中頃から17世紀中頃までのポルトガルにおける地図発達史と地図作家をとりあげ、地図上における日本列島の姿がどのように形成されていったのかをとらえようとしたものである。ポルトガル人が種子島に漂着する1543年以前にはジパング島が地図上に描かれていたが、実際の日本列島の姿は1550年頃からポルトガル人地図作家の手によって作製され、段階的に発展してゆくことをあきらかにしている。テイセラ日本図はじめ、その姿はオルテリウスの地図帳「世界の舞台」によって広く流布する。またその過程には、イグナシオ=モレイラをはじめ、キリスト教イエズス会の影響がおおいに考えられることを指摘している。
岡泰正 ウィロウ・パターンの起源と変様について
―18世紀輸出陶磁史の一視点―
本稿ではウイロウ・パターンと通称されている陶磁器の図様の起源と物語の成立について考察している。
ウイロウ・パターンの成立と変様の歴史を跡づけることは,18-19世紀の西洋・東洋の輸出陶磁器の流れを概観することにもなる。本稿は,18世紀後半期に中国から輸出された南京ウェアという染付磁器に焦点を当て,ひとつの図様の成立と変様の過程を明らかにする試み。
中村善則 航路図屏風考 近世の海陸道中図として位置づけられる航路図屏風12点を、その描かれる範囲、地形の形状、図示される城郭、航路の差異等によって、A-D類の4種に分類整理した。また、描かれる地域の拡大、城郭・航路の増加、平面的表現から鳥瞰図的表現へという変化から、描かれる地域が瀬戸内海に限られるA類を最古のものとし、大坂から天草、八代湾付近までを描くB類、さらに四国高知付近までと、壱岐、五島が加えられ、大坂、長崎を拡大強調して描くC類、全体を鳥瞰図風に描くD類への変遷を考えている