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異国工場図

江漢の西洋風俗図は油彩画の他に水墨など在来の手法で描かれた例も多く、本図はその代表的な作品です。「異国風景人物図」と同様、ラウケン『人間の職業』を原図としていますが、江漢はこれに変更を加え、画面を大きく横にのばし窓外の風景に遠近法の消失点をおき、画面右上の角にはカーテンのような幕の一部を描き込むなど、立体的な空間を感じさせるように工夫をしています。さらに本図で最も特徴的なのはその光の表現──窓から屋内にさしこむ外光が鮮やかに表わされている点です。当時では新奇だった西洋画の技法ばかりでなく、その光の表現についても江漢が強い関心を抱いていたことを本図はよく伝えています。

【江戸の絵画】
名称 異国工場図 いこくこうじょうず
作者名 司馬江漢 しばこうかん (1747-1818)
時代 江戸時代/18世紀末期〜19世紀初期
材質 絹本著色
サイズ 64.0×128.6
員数 1幅
その他の情報 款記「江漢司馬峻」白文方印(印文未詳)題記「De Tinnegieter.Zoch't inu Zeltsden/Schat,Van't aller Scroon,/Ste Vat.」

来歴:1957神戸市立南蛮美術館→1982神戸市立博物館

参考文献:
・神戸市立博物館特別展『異国絵の冒険』図録 2001
・神戸市立博物館特別展『司馬江漢百科事展』図録 1996
指定区分
分野 日本画