グラヴュール若葉文ガラス杯
グラヴュールによって、杯の周囲にチューリップのような花卉文を施した脚付き杯。グラヴュールとは、回転する金属、あるいは石製の円板に、器を押し当てるように表面を削って装飾を施す技法です。この花卉文は、18世紀末から19世紀初めにかけて、イギリスやアイルランドで流行したもの。
本器は、19世紀にヨーロッパから日本にもたらされた輸入品の一つと考えられ、収納箱に文政13年(1830)の箱書きが残ります。その木箱には、周囲を覆うように、龍が描かれ、蓋の表面には「茲夜光盃/避賢楽聖/于月千花/形影相映/頷下収蔵/教家珍永」とあります。詩中の「夜光盃(やこうはい)」とは、玉(ぎょく)で作られた盃を意味し、中国・唐代の詩人王翰(おうかん)の「涼州詞(りょうしょうのうた)」などの漢詩にも散見される。詩文の最後にある「頷下(がんか)」とは、顎(あご)の下に収める、という意味で、龍の顎の下にある珠玉(しゅぎょく)を指すとともに、手に入れにくい重宝の例えとされます。収納箱の天井部には、龍の頭が配され、中に収められたガラス器は、龍の珠玉に見立てられています。
【びいどろ・ぎやまん・ガラス】
本器は、19世紀にヨーロッパから日本にもたらされた輸入品の一つと考えられ、収納箱に文政13年(1830)の箱書きが残ります。その木箱には、周囲を覆うように、龍が描かれ、蓋の表面には「茲夜光盃/避賢楽聖/于月千花/形影相映/頷下収蔵/教家珍永」とあります。詩中の「夜光盃(やこうはい)」とは、玉(ぎょく)で作られた盃を意味し、中国・唐代の詩人王翰(おうかん)の「涼州詞(りょうしょうのうた)」などの漢詩にも散見される。詩文の最後にある「頷下(がんか)」とは、顎(あご)の下に収める、という意味で、龍の顎の下にある珠玉(しゅぎょく)を指すとともに、手に入れにくい重宝の例えとされます。収納箱の天井部には、龍の頭が配され、中に収められたガラス器は、龍の珠玉に見立てられています。
【びいどろ・ぎやまん・ガラス】
名称 | グラヴュール若葉文ガラス杯 ぐらあゔゅーるわかばもんがらすはい |
作者名 | 製作者不詳/アイルランド製 |
時代 | 江戸時代、文政3年/1820年 |
材質 | ソーダ石灰ガラス |
サイズ | 口径5.4 高11.6 比重3.23 |
員数 | 1 |
その他の情報 | びいどろ史料庫コレクション 来歴:1984びいどろ史料庫→2011神戸市立博物館 参考文献: ・神戸市立博物館『ギヤマン展 あこがれの輸入ガラスと日本』(神戸新聞社、2014) |
指定区分 | |
分野 | ガラス |