群仙星祭図
円い塊のように集まる16人の仙人たちが、鶴に乗る寿老人の飛来を祝っています。中国では「群仙供寿」「群仙慶寿」と呼ばれ、長寿を祝う伝統的な画題です。南極老人星(カノープス)の化身である寿老人の登場に、あるいは見上げて指差し、あるいは両手を合わせて興奮気味な様子。ぎゅうぎゅうと密集し、異様な熱気を漂わせています。若芝の群像表現には長崎に来航した中国人がもたらした緙絲(こくし・タペストリー)に源流があると考えられています。死相が出て真っ黒な李鉄拐は宋末元初に活躍した顔輝の「蝦蟇鉄拐図」(京都・知恩寺)を想起させます。若芝は舶来の文物から学習し、濃密な群仙図をつくりあげました。狩野探幽筆「学古帖」には「問顔輝図式」と題した同種の図様があるなど、17世紀後期には人気の画題でした。奇矯な魅力に富む、若芝の代表的作品。
【長崎ゆかりの近世絵画】
【長崎ゆかりの近世絵画】
名称 | 群仙星祭図 ぐんせんせいさいず |
作者名 | 蘭溪若芝筆 (1638-1707 ) |
時代 | 江戸時代、寛文9年/1669年 |
材質 | 絹本著色 |
サイズ | 116.0×60.2 |
員数 | 1幅 |
その他の情報 | 落款:「寛文九己酉季広寒朔旦/烟霞野僧若芝薫沐敬写」 印章:「若芝」(朱文方印)「普馨」(白文方印)「琴棋書画○楽而不淫」(朱文方印) 来歴:小島熊一郎氏→池長孟→1951市立神戸美術館→1965市立南蛮美術館→1982神戸市立博物館 参考文献: ・神戸市立博物館『まじわる文化 つなぐ歴史 むすぶ美―神戸市立博物館名品撰―』図録 2019 ・國立故宮博物院特別展『交融之美 神戸市立博物館精品展』図録 2019 ・神戸市立博物館・長崎歴史文化博物館特別展『我が名は鶴亭』図録 2016 ・九州国立博物館『トピック展示 視覚×革命 異国と出会った江戸絵画―神戸市立博物館名品展―』図録 2013 ・神戸市立博物館企画展『若芝と鶴亭―黄檗宗の画家たち』図録 2011 ・赤木美智「河村若芝の研究―文献と初期作品を中心に―」『フィロカリア』第22号 2005 ・神戸市立博物館特別展『隠元禅師と黄檗宗の絵画』図録 1991 |
指定区分 | |
分野 | 日本画 |