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師父二童子図・西洋二武人図

両図とも信方?と読める落款とヨーロッパ紋章風の印章が対称的な位置にあることから、対に描かれた作品と考えられます。これと同様の印が捺される同種の作品としては、「日教上人像」(青蓮寺)「達磨図」(養竹院)「婦女弾琴図」(大和文華館)などが挙げられます。この信方という画家については、文献中にも名前が見あたりません。ただ仏教的主題も描いていることから、キリスト教徒として西洋画を学びながら、後に棄教した人物であるとも考えられます。

本図は、他の初期洋風画と同様、16世紀末葉のヨーロッパ美術の潮流であったマニエリスム様式の反映がみられ、類型化の進んだ柔和な顔立ちや、微妙なS字型にくねらせたポーズが優美な雰囲気を漂わせています。しかし本図も含めて信方筆とされる作品は、背景を無地にするなど、東洋的な構成法をとっています。これは、他の初期洋風画には見られない特徴で、この画家の素性や禁教令以降という作画時期を考えるうえで重要な問題を含んでいます。

【南蛮美術】
名称 師父二童子図・西洋二武人図 しふにどうじず せいようにぶじんず
作者名 信方?款 のぶかた
時代 江戸時代/17世紀前半
材質 紙本著色
サイズ 各114.6×53.4
員数 2面
その他の情報 款記「信方」(?)・朱文方形紋章印

来歴:神田乃武男爵→池長孟→1951市立神戸美術館→1965市立南蛮美術館→1982神戸市立博物館

参考文献:
・サントリー美術館・神戸市立博物館『南蛮美術の光と影 泰西王侯騎馬図屏風の謎』展図録 2011-12
・神戸市立博物館編『南蛮美術セレクション』 1998
・西村貞『日本初期洋画の研究』1945
指定区分
分野 その他